前の記事からの続きです。
■通い始め
B子が、割と近所(自宅から車で30分)の女医さんの歯科医院に通うことに同意したのは、
ちょうど5年生の夏休みが始まる頃だったと思う。
夏休みの間に歯の治療をがんばって済ませれば、
2学期からは学校に元通りに通えるんじゃないかと私は期待した。
ここまでの拒否がある子はやりづらいだろうなと申し訳なくて、
にこやかにまず心をほぐそうとしてくださることに感謝していた。
B子本人は、車を降りるところから、入り口でスリッパをはく、
階段を昇るなど、ひとつひとつでつっかかって前に進まない。
仕事を早退してきているので夕方で、診療時間終わり間際に行っていたりするので
私としては非常に気を遣う。
でもこちらが焦ってもまったくプラスにはならない。
わかっていても、気を遣う。
そしてまた、恐怖を感じているB子の気持ちを、医師が尊重してくれたとしても
受付の人は?呆れてないだろうか?などと気になる。
ちょっとしたことで「もう来ない」となるかもしれないので、
こちらも神経が張り詰める。
■慣らし
この先生は、本当によく付き合ってくださって、
初回顔合わせのみのあとは、2回目でまたお話をして、
待合室でもしよければ口を開けるだけ、どう?というような持ち掛け方。
なんとか開けたときにB子は涙を流し、先生は「怖かったね~」などとフォローしてくださる。
そのうち、B子も少し心を許して話をするようになり、
診察室で歯を磨くところまでは行った。
診察室の椅子を倒さずに座ったままでしてくださるのもB子の希望通り。
「やれるところまでしかやらないから。信じて。」とも。
私としては、ほっとして涙が出るくらい。
しかも、「治療はしてないので」と、保険証の提出も不要、つまり請求しないと。
お時間取っていただいているのに、申し訳なかった。
■通い
私が仕事をそう頻繁に早退もできないので、B子の祖母に連れて行ってもらったこともある。
一回で治療が進むことはないので、なるべく回数多く行かなければと私が考えてのこと。
その頃はお兄ちゃんの影響でカードゲームにハマっていたので、
私は自分で中身を選べない買い物が心底嫌いだったが、
仕方なくごほうびにカードを買い与えたりしながら。
行くと電話してから向かったのに途中でB子のお腹が痛くなってトイレに寄ったら
終了時間に間に合わなくてあきらめたり、
祖母に頼んでおいたけれどもB子が「今日は行きたくない」というので
行けなかったことも、たくさん。
■治療への一歩が踏み出せない
何回通っただろうか、10回には届かないくらいかな。
治療できないまま夏休みは越してしまったけれど、それでも通っていたので希望を持っていた。
歯磨きの指導に素直に従い、B子は家でも虫歯以外のところを一生懸命磨いたりしていた。
しかし、いよいよ先生から「そろそろ、いつ痛くなるかわからないから、歯磨きじゃなくて治療にとりかかってみようか」と持ち掛けられてから、やっぱり怖くてたまらなくなってしまった。
なんとか連れて行った次の回で、
ある程度の信頼関係ができたと先生が感じておられたからだと思うが、
拒否するB子に対して
少し強めに「でもなんとか治療をしないといけないもんね」というように先生がおっしゃってから、
B子からすると「やっぱりこの人もだめだ」となってしまった。
■振り出しに戻る
本当に困って、先生に電話して、「ずっと歯磨きしかできない(と本人は自分を責めている)と言っています。いつ痛くなってしまうか怖いけれど治療に取り掛かれないから、全身麻酔のできる病院に行ったほうがいいのかもしれないと考えています。」といったことを伝えた。
本当はその先に「そのためにはどうしたらいいだろうか」と相談したかった。そういう場合の流れが全然わからなかったので。「必要なのであれば先生に紹介状を書いてもらえないだろうか」とお願いしたかった。
でも先生には、「歯磨きしかしてもらえない」と先生を責めているように伝わってしまったようだ。「そういわれてもですね」と機嫌を損ねられてしまった・・・。それが意外すぎて、そんな風に言い出す人間だと思われていたのが悲しくて、誤解を解いて話を先に進めることができなかった。
とてもとても感謝していたのに、最後が誤解で終わってしまって悲しい。
希望が見えてきたところだったのに、また振り出しに戻る。
B子も彼女なりにがんばってきたが不安は変わらず、失敗を重ねている状態となってしまった。
この続きは以下の記事をご覧ください。
コメント