E太、学校に再び通いだす

不登校

半年近く空いてしまいましたが、以下の記事の続きです。

■プライドとプレッシャー

高1の夏休み直前から不登校となったE太。
2学期の中間テストが10月初めにあったが、行けなかった。
これについて担任に連絡する中で、体調不良で登校できないのであれば、病院受診すれば、
1学期の成績を参考に成績をつけてもらうことができるということを教えていただいた。

まじめで、とくに学習面でのプライドがあったE太なので、
「高得点を取れないなら受けない方がまし」とか、
自分にかけたプレッシャーとのバランスが取れないことでの
モチベーション低下かなと思う。

そういうときには起きだすことそのものができないので、
病院に連れて行くのも一苦労だったが、
本人が深みにはまりすぎては困るだろうという思いで
引きずるようにして病院へ連れて行った。

テストが受けられないからといって即成績ががくりと下がるとか、
留年とかいうことにはならないということで、少しほっとした。

私が心配していたのは、割と順調な中学生活を送れていたE太自身のプライドが傷ついてしまうと
生活のペースを取り戻すのに支障になってしまうのでは、ということ。

小学校の時は完全にインドア派で体を動かすことにまったく自信がなかったが、
中学校で部活をし、成長に伴い体の扱いも上手になってきて、
そこまでコンプレックスを持たなくてもいいのだという自信を以前よりは持ててきていた。
それでも周囲ではスポーツ万能な子が活躍していたので、スポーツにはさほどの自信がない。
その分、勉強なら上位でいられるというプライドを持っていた。
だからこそ、テストを受けられなかったことから生じる事態が、
E太をより傷つけることになるのでは、と私は心配していた。

■「ちゃんと登校する」宣言

2学期中間テストの翌週、思春期外来の初診で、医師から入院を勧められた。
学校からは「前例がないので入院中のレポート提出で出席とするような対応はできない」と言われ、
まったく入院などしたくないE太は「ちゃんと登校する」宣言をした。
年間の「休んでも大丈夫な日数」は全体の3分の1で、残り日数は17日。
大雨や大雪で休校となったとなれば母数が減るので、実際にはもっと少なくなる可能性もある、とのこと。
宣言当初から背水の陣状態。

学校へ行くモチベーションが見当たらない状態には変化がないのに、
そんな無理を年度末まで続けられるだろうか?

私は非常に不安だった。

医師から入院が必要ですと告げられている患者なのに、
学校が協力してくれないというのはどうなの、と違和感。
私が甘いのかしら。
義務教育じゃないから自己管理できない生徒の責任、か。

知人が語ってくれた数十年前の体験談として、
結核を患って一年留年したというのがあったが。
今もそれが当たり前ということなのか。

■柔軟な対応を望む

病院の医師も学校の理解のなさに驚いていた。
レポート提出で出席と認めるような柔軟な対応をする学校も実際にあるのに・・・。
今どき、そのくらいしていくべきだと思いますけどね、と。

時代は変わっていて、スマホ依存もこれから増えていくかもしれない。
学校の対応によってはより一層落ち込むか、協力を得て立ち直っていくか、
その子の人生に大きな影響のあることだ。
単位が足りずに留年、または転校や中退となれば出費もかさみ、家庭の負担も増える。

そういった問題をまったく考慮しないということでいいのだろうか。
どうもあまり納得がいかない。
いくらなんでももう少し柔軟でもいいのではないかと思った。

■高校進学後のトラブル事例から考えること

高校進学後にうまくいかなかった子の話は、それまでにいくつも耳にしていた。
郡部から都市部の高校に入学した子に何かトラブルがあった場合、
子どもは寮に入ったり下宿だったりするので、日々の家庭でのサポートがしにくい。
サポートするとなれば、親が長距離を運転して駆けつけねばならない。
自宅から通う子の家庭よりも相当なハンデを抱えている。

学校側は受験を視野に勉強にばかり力を入れていて、
いじめなどがあってもトラブル解決に有効な動きはしてくれず、
結局通信制に移ったという話を複数聞いて、
高校ってそんなに冷たいんだ?と、怖かった。

いくら義務教育でないといっても、
諸経費を支払わせ制服購入させて子どもを所属させている学校が、
生徒や保護者が困っていても切り捨てるだけで済ませるのだとしたら、
それは教育といえるのか。

学校のやり方に合わせていけない子については、
すべて本人と家庭の責任です、ということにして終わりでは、
教育機関としての高校の負うものがあまりに軽すぎはしないか。

或いは、せめて、高校に合わなかった場合、次の高校に編入することが
もっと気軽に安価にできるような仕組みにできないものなのだろうか。

これだけ実質賃金が下がって、教育が「ぜいたく」となってしまっている今、
家庭に負担をかぶせて終わりでは、当然人材は育ちにくく、
格差は広がる一方だろう。

■「教育の機会均等」について考える

私も東京にいた頃には地方の実情などまったく知らず、
スポーツとか勉強で特に遠方の高校に望んでいくような人でもなければ、
高校生は自宅から通学するのが当たり前と思い込んでいた。
高校生から親元を離れるケースが多い地域もあることをこちらに来てから知り、驚いた。

少子化のため、県内の高校が減らされていっている現状があるが、
過疎地の高校は残していかないと、寮費や送迎などのプラスアルファの負担が家庭にのしかかり、
進学をあきらめねばならない子も出てくることになってしまう。
あるいは、そこでの生活をあきらめて都市部へ流出する家族を生むことにもなる。

実際に、過疎地の高校が減らされており、
私の住む地域にも歩いて行ける高校が数年前まではあったのに、廃校となってしまった。

教育の機会均等というにはほど遠い現状だと思う。

以前の私と同じように、知らない人も多いだろう。
Iターンとか地方創生とか移住促進とかいわれるが、
都市部から地方へ人を呼び込もうとするなら、
こういった問題の周知と議論がしっかりなされるべきだと思う。
まずはこの状況が広く知られるようになってほしい。

■「無理のない範囲で」学校に通う

常々そんなことを考えていたところ、うちの子も進級が危うい状態となってしまった。
担任の先生は家庭訪問をしたり、電話をくださったりと、
ずっと気に掛けてくださってありがたかった。
ゲーム依存、スマホ依存に関してはあまり詳しくはない様子だったが、
ちょうど教職員向けのゲーム依存についての講習会があったので参加してきました、などと
話され、協力的な雰囲気だった。

学校へ通い始めたところでスマホ依存が改善するならいいが、
そう簡単でもなさそうと私は感じていて、
通院を継続したいのに、平日しか診察してもらえないので
通院と学校の両立は難しく、やきもきしていた。

それで、E太が登校できなかった日に、病院に連絡して急遽2度目の受診。
初診の予約を取るのは難しいが、2度目以降は空いていればいれてもらえる。
「学校に行くようになりました」と伝えたところ、
入院の話で重大さを理解したといっても、それだけですぐに通いだせるというのは珍しいです、
ほめてあげてください、とのこと。

「ほめて伸ばす」を目指していたにしても、
これまでの学校生活が当たり前にできていたときのイメージがある私は、
「ほめるの?これを?」と釈然としない思いだった。

留年したら自分で自分を許せないなど、傷が深くなるのではと心配していると医師に伝えると、
それは留年したときに考えればいいことではないでしょうか、とアドバイスいただいた。
そうかもしれないけれど、ある程度想像がついてしまう分、不安は不安なのです。

医師からE太へは、アルコール依存症になれば、仕事中でもトイレで隠れて飲む人もいます。
E太くんの場合は、学校では使用禁止というルールがあればそれを守れているということで、
理性で抑えられているということですね、と評価してもらい、
私は、そこもほめるとこなのか、と目からうろこであった。

そのときに、医師から「無理のない範囲で」というアドバイスがあったことで、
朝起きられないなら、昼にもバスがあったね、と思い出し、
昼から登校していつもの夕方のバスで帰ってくるのもありかもね、と私からE太に話した。
これができれば、私が朝から乗せていけなかった場合にも、まだ自分で行く余地がある。
これだと午後の授業だけ出てすぐ帰ることになり、学校滞在時間は2時間に満たないほどとなる。

これがのちのち、教科ごとの時数が足りているかの問題でネックとなってくるのであった。

この続きは以下の記事をご覧ください。

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