前の記事からの続きです。
■またまた初診
B子中1の8月下旬に紹介状をもらい、いよいよ。
県下の難しい患者さんはそこを頼るといわれる歯科医院に9月頭の予約を入れた。
予約時に、これまでの経緯を説明し、「女医さんをお願いします」と伝えた。
怖くて仕方がないので、診察ができるかどうかもわかりません、とも。
さすがにそういったケースも珍しくないのか、受け答えに戸惑いがない印象。
ところが、8月末にクラスメイトから励まされ、6月終わりからぱったり行けなくなっていた学校にまた行ってみようという気持ちになったB子さん。
予約日に登校してしまった(笑)ので、
予約をいったんキャンセルし、翌週に取り直した。
(笑)とか言ってるけど、経緯を説明して、女医さんでお願いしますなどと注文つけたのに予約キャンセルして取り直しとか、気を遣わないではいられない。
気疲れ。
高校を休学していたE太の方も動きがあり、8月に引き続き実にどたばたな9月。
予約が午前中で、起きられるかしらと心配だったのに、
入会を検討していた人気の体操クラブの見学がその前日の夕方にしか入れられず、
帰りが遅くなったために親子ともども消耗。
だいぶ不安だったが、当日の朝はちゃんと起きられた。
B子自身、受診に不安はあったが、
治療を受けないといけないことはわかっているし、
もうこれがおそらく最後の歯科医院だということもわかっているし、
治療できないストレスもたまり、だいぶ切羽詰まっていたからだと思う。
受診前の薬も、いつもふらふらになりすぎるので相談したら、「2錠で処方してますが、様子を見て1錠にしてみてもいいですよ」と思春期外来でいわれていたので、1錠で試す。
まず看護師さんの問診があったが、開口一番、
「来られたことがすごいですね!」とほめてもらい、ほっとする。
そうなんです。そこなんです。
そうして理解を示してもらえれば、心を開こうという気にもなるんです。
そして、看護師さんにも女医さんにも、軽く口を開けて見せるところまではできた。
初診でここまでできるなんて、快挙。
待たされて説明を受けて、という段階になったら、「車で待ってていい?」と言う。
説明は保護者だけでいいとのことだったので、後半はB子は車にいた。
■手術日決定
医師からは、今日レントゲンが撮れればいいが、無理なら手術当日にしてもよい、とのお話があった。
でも、手術まで数か月待たされるなら、虫歯がどんな状況なのか私も把握したかった(耳の痛みと関係があるのかどうかなども気になっていた)ので、
「今日はレントゲン撮影をするという話はしていないので無理ですが、
手術までにもう一度受診して、そのときに撮影というのは可能かもしれません」と伝えた。
後から思えば、これが手術を遅らせたのかもしれない。
レントゲン撮影をすっかりあきらめていれば、この日に手術の予約ができたのじゃないか。
これはよくわからない。
かかりつけの小児科と思春期外来の先生に全身麻酔についての確認書を書いてもらわなければならず、これが揃わないと予約できないだけなのかもしれない。
それぞれ受診時に私が持参してお願いし、揃ったのは9月終わりごろだった。
とにかく10月半ばに再受診、レントゲンで口の中全体を撮影。
小5で欠けた左の歯だけでなく、右の歯にも虫歯があることがわかった。
この日にやっと手術日が決まった。2月20日。
事前検査が1月下旬。
全身麻酔のあと、さらに静脈注射での麻酔にて追加の治療を3月に行う。
愕然とした。
あと4か月も待つのか。
そして、すべて終わるのは年度末、か。
年内にはなんとかなるのかなと漠然と思っていた。
へなへな。
■あと4か月
もし手術までに痛みが出ても、痛み止めをもらうしかないのだという。
怖い。
そのへなへなした気持ちで4か月は耐えられないと思ったので、
2月までに紹介元の歯科医院に通ってみて、少しでも治療を進められたらいいのでは、と考えた。
B子も同意したので、予約を入れた。
これまでの年数を考えれば、あと、ほんのもう少し、ではあるけれど。
長い、長い、4か月が、始まった。
■紹介元の歯科医院に行ってみる
予約を入れたはいいけれど、あの女医さんは、時短勤務中とのことで
勤務日数が限られているうえに人気で、予約が取りにくい。
B子はB子で、学校にぽつぽつ行きだしたので、予約が入れにくくなった。
人気の先生の予約枠を抑えておいてキャンセルするのも迷惑だしと思い、
女医さんにはこだわらないというのはどうかとB子に提案。
渋々ながら同意した(絶対嫌なら嫌という子なので、挑戦してみようと思えたらしい)。
ところが、比較的空いている平日昼間に柔らかく優しく接してくれた女医さんに診ていただいたときと、
学校が終わってからの夕方では、医院の中の雰囲気がまったく違っていた。
混んでいるので、B子の苦手なキーンという音もあちこちでたくさん響いていて、きつかった。
それから、以前は個室で静かに診てもらえていたのに、今回はそうはいかなかった。
スタッフさんたちも心なしかピリピリしている。
男性の先生は、女医さんに比べると、ちょこっと押しが強かった。
B子が抵抗を見せても「ここまではやろう」という感じだった。
さらに、助手さんが「がんばろうね」と強めに諭すように促した。
見ていて「あー、これはだめだわ」と思った通り、
帰り道で、B子が不快感を表明。
じゃあやっぱり、女医さんにお願いしようか、と言って予約を入れてみるけれど
行けなくてキャンセルなどしているうちに年末。
「手術の予約があるのなら無理しなくていいですよ」と言われながら、
いてもたってもいられなかったのだったが。
何度も予約を入れたりキャンセルしたりして、ご迷惑をお掛けして申しないと恐縮はしつつ、
その都度精一杯行こうとしていたのだったが、うまくいかなかった。
■右側も欠けた
1月終わりに手術前の検査があったが、その直前に遠出した際、
もちもちしたお団子のようなものを買って食べたら、
レントゲンで判明していた右の歯がとうとう欠けてしまった。
そのときのB子の落ち込みようと言ったら。
両側が欠けているのでもう何も食べられない、といって、
ゼリーのようなものしか口にしなくなり、
宿泊先でも青い顔で何も食べられないと言っていたが、
うどんならどう?と促してみると
さすがにお腹が空いていたせいか、噛まずに飲み込むという技術を編み出し、乗り切っていた。
そのときは、帰ったらすぐに治療してもらおう、と話していたけれど、
「今すぐじゃないと、治療してもらいたいという気持ちが変わっちゃうかもしれない」
とB子自身が言っていた通り、受診は叶わなかった。
不思議と、痛みはないという。
あと1か月・・・。
■青い顔の2月
ちょうど1月から2月にはB子の新しい習い事が始まって、
土日は事情を知らない子たちと練習に参加していたのだった。
右側が欠けてからは、表情も冴えず、心ここにあらずというような状態。
それでもその習い事とメンバーが好きで、なんとか通っていた。
お泊り会にも参加した。
そのお泊り会の会場となったお宅のお母さんは歯科助手さんだったので、
B子の様子に気づくかもしれないと思って、
「もうすぐ手術なんだけど、今あんまり噛めないので、もし食べなくても
コメントせずにそっとしておいてほしい」などと根回ししたり。
手術の日は、学年末テストの日だったが、そんなことよりもどう考えても手術の方が大事だった。
学校には、もうすぐ手術でナーバスになっているので、
それまでは行けなくてもやる気が出なくても仕方がないと思います、と伝えていた。
毎日ひやひやのひりひりの2月だった。
B子はもちろん、サポートする私も、ぼろぼろのよろよろでたどり着いた2月20日であった。
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